のび太はドラミちゃんにお礼を言いました。
そして、「このままでいいよ。」と一言告げました。
ドラミちゃんは後ろ髪ひかれる思いでしたが、何も言わずにタイムマシンに乗り、未来に帰っていきました。のび太、小学6年生の秋の日の出来事でした。
その日から18年の月日が流れました。
不思議と優しさあふれる魅力。とても力強い意思。どこか淋しげな目。眼鏡をさわるしぐさ。黄色のシャツに紺色のネクタイ。のび太はりりしい好青年になっていました。
アメリカでの海外勤務から帰国した彼は、最先端の技術研究を行う企業で、ロボット工学の分野でチーフとして働いていました。そしてまた、めでたくしずかちゃんと結婚し、それはそれはとても温かな家庭を築いていました。
あの日ドラミちゃんが去った後、のび太は「ドラえもんは未来へ帰った」とみんなに告げていました。
そしていつしか、誰もドラえもんのことは口にしなくなりました。
しかし、のび太の家の押入れには「ドラえもん」が眠っています。動かなくなった、あの時のまま。
のび太は技術者として、今「ドラえもん」の前にいます。
小学生の頃、いつも0点ばかりで成績は学年で最下位でした。しかし、あの秋の日の出来事以来、必死に勉強しました。高校、大学と進学し、確実に力をつけていきました。
就職してからも一生懸命に働きました。その努力が認められロボット工学分野で、最も権威のある大学で研究するチャンスが与えられました。その大学でも様々なことを学びました。
勉強もスポーツも、何もかもだめなのび太という人間を変えたもの。それは、「ドラえもん」を治したい、という意志でした。
人間はある時、突然変わることができます。のび太にとってのある時とは、「ドラえもんの電池切れ」だったのです。
ドラえもんの中の思い出が消えてしまうのは嫌だ。自分がドラえもんを修理する。
それがのび太の原動力となったのです。
30年後。
ある日の朝。しずかちゃんが自宅にあるのび太の研究室に呼ばれました。それまでは絶対に入ることを禁じられていた研究室でした。中に入るとのび太が優しく微笑んでいました。
そして机の上にあるものを見て、しずかちゃんはつぶやきました。
『ドラちゃん...?』
のび太は言いました。
『しずか、こっちに来てごらん。今、ドラえもんのスイッチを入れるから。』
しずかちゃんはだまって、のび太の作業を見つめていました。
この瞬間のため、のび太は技術者になったのでした。
外部からの補助電源で電力を確保し、それを予備電池としてとしてドラえもんの記憶を一時的に保管しました。
その間に自分が研究で開発した新しい電池を交換しました。
ドラえもんは、本来ならば今から100年以上後に生み出される22世紀のロボットです。当然その内部や作りは、とても複雑で精巧です。一つ間違えば、ドラえもんは永遠に動かないままです。
しかし、不安はありませんでした。落ち着いている自分がいます。そんな自分が不思議に思えるほど、心が落ち着いています。のび太は静かに、静かに、そして丁寧に、迷いのない手つき作業をしました。
そして、スイッチを入れました。
ほんの少しの静寂の後、あの秋の日から止まったままの時間動き出しました。
『のび太くん、宿題はやった?』
あの日と同じように、白い雲が青い空に浮かんでいる天気の良い日でした。
とまあこんなかんじです。
のび太凄いですね~
強い意志でそれを成し遂げた訳ですから。
さて、答えてくれたゆづはおさん、くっったんさん、かのんxeさんありがとうございました!
ちなみに僕なら電池を変えます。
あと、AliceDropさんと一匹オオカミハイドさんは知っているそうでしたがどうでしたか?
知っているのと同じ話でしたか?
最後に、ここまで読んでくれてありがとうございました!
それでは、また。
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この記事へのコメント:
かのんxe
Date2012.06.02 (土) 17:13:29
予想を大きく覆したぞのび太ぁぁ!!!
ぃゃ。。。コレ本当にのび太ですか?え?こんなイケメン(想像)が!?
マジかよ。。。!
留年しまくってるイメージしか無かったよ未来ののび太...!!
努力したら出来るやつだったのかよ。。。!
超面白かったですvありがとでした♪
いくCおん
Date2012.06.02 (土) 17:35:53
私は初めてこの話を聞いたときに涙が出ましたよw
どんな人でも努力すれば夢は叶うって
思うことができるいい話です。
AliceDrop
Date2012.06.02 (土) 18:05:28
この話をYouTubeで見た時は涙が止まらなかったですね。
今はダメダメでも、努力しだいでなんでも出来るってことを学びました。
気になる人は、YouTubeでドラえもん最終回で検索すれば見れると思いますよ。
一匹オオカミハイド
Date2012.06.02 (土) 19:12:42
のび太ってやればできる子だったんです!
決してダメな少年じゃないんですよ!
…と、声を大にして言いましたw
ゆづはお
Date2012.06.02 (土) 19:23:21
すごい感動しちゃいました!!
のびた尊敬しちゃう><
srアゲハ
Date2012.06.04 (月) 18:08:25
感動しますよねこの話。
僕も授業中でしたけど普通に感動しました。
T.Y.
Date2012.06.11 (月) 20:00:06
遅ればせながら見かけたついでに水を差すような話でもさせていただきましょうか。
この話は割と有名です。
元々、同人誌で描かれた話だったのですが、あまりにも出来が良く、かなりの売り上げを記録したため、著作権訴訟になりました。
同人誌はたいてい大目に見られているが、あまりに売れると問題になるということを示す好例です。
将来、万に一つ著作権問題に関わった時のためにも覚えておいて損はない話です(一気に世知辛い話になってしまいましたが)。
srアゲハ
Date2012.06.11 (月) 20:44:21
この話って同人誌の話だったんですか~
知らなかったです。
売れなければ別に良くて売れるとダメってなんかひどいですね~
よ~く覚えておきます!